放送第10回「闇の大帝、君臨!」
 
仲間達の助けを借り、単身大帝へと挑むために疾走していたレッド。
薄暗い通路を抜けた先は、己の手元すら判別できぬ、漆黒の闇が広がっていた。
前後不覚になり、動く事を躊躇したレッドの周囲を、小さな空間で反響するかのような声が響く。
「レッド、待っていたよ。」
今まで怪人達の襲撃を防ぐ度に、幾度となく聞こえていた声。
「どこだっ!姿を見せやがれ!」
目標の敵に限りなく近づいた事が確かであると同時に、未だ手の届かない位置に居る事が苛立ちを募らせた。
「はっは、そう焦るな。」
姿が見えないまでも、大帝は楽しげな笑い声を上げる。
「君がなかなか来ないもんでね、僕の可愛いペット達が退屈していたんだ。…遊んでもらえるかな?」
レッドの返答を待つ事なく、暗闇の中から一陣の風が吹き抜け、青い光を纏う鷹が一撃を加えてきた。
その後を、武具をまとった巨大な馬が荒々しく嘶きを上げて駆ける。
馬の突進に対してスピアを反転させて避けるレッドの上空を、鷹が様子を見るかのように周回を繰り返す。
「さぁ、僕の可愛いペット達、存分に遊んでもらいなさい。…とどめは僕が刺すからね。殺しちゃだめだ。」
大帝の言葉を合図に鷹が高く長い鳴き声を上げると、馬が蹄を床へと叩きつける。
床はその衝撃で生き物のように隆起し、レッドを足元から襲った。
倒れこそしなかったものの、よろめいてたたらを踏んだレッドを、上空から鷹が襲う。
鷹と馬のコンビネーションに、レッドは翻弄されていた。
道を切り開いてくれた皆の顔が次々と浮かび、自身の不甲斐なさを悔やむ。
自分の力だけを思い描くんじゃない、仲間達ならいったいどうする?
レッドは脳裏に浮かぶ仲間達の戦い方を、懸命に思い出していた。
 
鷹の素早い速度…速度ならブルーだ。
ブルーと訓練で手合わせした時、自分はどうしていた?
記憶の中では、捉え切れぬスピードで舞う剣の切っ先が目の前に迫る。
同時に、現実では鷹のクチバシがレッドの頭部を切り裂こうと滑空している所だった。
速度があるということは、直前での急な動きは苦手なはず。
ギリギリまで引き、当たる瞬間で…!!
鷹のクチバシがヘルムの飾りに当たる瞬間、レッドは体をほんの少しズラし、ヘルムに衝撃を受けつつ鷹の胴体へとスピアを付き出した。
力の入る位置からの攻撃ではないため、レッドは鷹に大きなダメージを与えられるとは思っていなかったが、速度を出して迫ってきた鷹は、自身のスピードによりスピアへと刺さっていく格好となった。
その後を追ってきた馬の攻撃は、体制を立て直す暇は無い。
レッドの脳裏に、今度はブラックの声が蘇る。
(ムリな体制から攻撃しても、大した攻撃は出来まい。正面から当たるバカ正直なお前の戦い方は嫌いではないが、たまには引く事も肝心だという事も覚えておけ。)
そうだ、この時は確か…ムリな体制から攻撃してブラックに避けられ、カウンターで当てられたんだ。
突進してくる馬の斜め後方へ、転がるように避けると、馬は突撃する相手が動いた事に対処しようと、レッドが元いた場所よりやや後方でたたらを踏んだ。
鷹が傷を受けて地上でよろめいている事もあり、その間にレッドは完全に体制を立て直していた。
 
「さぁ、遊んであげるんだったね。」
大帝の嘲笑するかのような言い方とは逆の、真剣な眼差しでレッドは2匹に向かってスピアを構えた。
 
  
次週、「戦う事の意味」
ブレイブマンは、世界を守る事ができるのか…!?
 
  
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この後すぐv
キューティー蜂蜜ハニー
「変わるわよんっv」